メニューに戻る

総合研究博物館ホームページへ

前頁/後頁

XI.硫酸塩鉱物

147. 重晶石
Barite BaSO
4
産地 秋田県小坂鉱山/朝鮮晶道鉱山/朝鮮金山里
小坂鉱山重晶石は,硫化鉱物から成る鉱石の表面に群生する無色透明の板状結晶である.結晶は径3〜8mm,厚さ1〜3mmであり,c (001)およびm (110)を主面とし,稀にd (102),o (011)面などを伴う.
晶道鉱山産は無色,透明ないし半透明,立方体に近い3〜5mmの柱状結晶である.c m d を主面とするが,d 面が著しく発達して,c 面が小さいものもある.稀にa (100),o (011),u (101),λ (210),z (111),s (132)などの諸面が認められる.平行連晶をなすものもある.
金山里産は白色塊状であって,鉄マンガン重石および針鉄鉱と共出している.小坂鉱山産と同様に,c およびm を主面とする径5〜20mm,厚さ3〜7mmの無色透明の美しい板状結晶が群生している.

148. 北投石
Hokutolite (Ba, Pb)SO
4
産地 台湾北投渓
北投石は,岡本(1909)によって放射能を有する新硫酸塩鉱物として報告されたのが最初である.
北投渓北投石は泥質礫の周縁に皮殻状に生成しており,表面は1mm以下の小結晶が密生している.結晶は淡褐色,ガラス光沢を有し,菱面体形であって亜平行連晶をなす.ときに濃淡ある黄褐色で,1〜5mmの厚さの層が縞状構造をなしている.各層は針状あるいは粒状の微晶の集合であって,最外殻表面はやや粗粒である.

149. 硫酸塩鉱
Anglesite PbSO
4
産地 長野県佐久鉱山
佐久鉱山硫酸鉛鉱は灰白色,半透明,径5mm以下の錐状結晶である.ζ (221)面のみから成るものが最も多く,t (121)を主面としo (011)の小面を伴うもの,m (110)およびz (111)面から成るものなどが稀に認められる.

150. 硬石膏
Anhydrite CaSO
4
産地 福島県加納鉱山
加納鉱山硬石膏は白色で,よく伸びた10cm程度の柱状結晶が放射状集合をなしている.ときに白色の長さ20cmの柱状結晶が放射状に集合し,一部に石膏を挾む.黄鉄鉱,黄銅鉱も鉱染状に散在している.

151. ブロシャン銅鉱
Brochantite Cu
4(SO4)(OH)6
産地 静岡県河津鉱山
河津鉱山ブロシャン銅鉱は母岩の表面あるいは割れ目に,濃緑色,ビロード状に密生する1mm以下の針状結晶である.

152. 青鉛鉱
Linarite PbCu(SO
4)(OH)2
産地 秋田県日三市鉱山

テキストのみ

日三市鉱山産青鉛鉱は黄銅鉱,閃亜鉛鉱,石英などかな成る鉱石の表面および空隙に,濃青色半透明の針状微晶が放射状あるいは不規則集合をなしている.石英の結晶間隙には,b軸方向に1mm程度伸びた柱状結晶が見出され,a (100),c (001),s (-101),u (-201),m (110)の諸面が認められる.

153. 石膏
Gypsum CaSO
4・2H2O
産地 秋田県/山梨県静川村/島根県松代鉱山/産地不明

石膏標本は10個以上あるが,外観上次の3種に分けられる.


(1) 無色透明に近く,b (010),m (110),l (111)面から成る菱形板状で,透石膏seleniteと呼ばれるもの.静川村産はこの型に属する.a 軸方向に約10mm,b 軸方向約5mm,c 軸方向約20mmの美晶である.m 面にはc 軸に平行な条線が明瞭である.この他に,c 軸方向の長さが8cmに達する板状結晶,小結晶の連晶と燕尾双晶を成すものなどがあるが,いずれも産地不明である.
(2) 繊維状のもので絹糸光沢を有し,繻子石膏stain sparなどと呼ばれるもの.松代鉱山産などがある.無色ないし白色,半透明で石膏脈として産したものである.
(3) 繊密な塊状をなし,雪花石膏alabasterと呼ばれるもの.秋田県産がこの型である.淡橙色,繊密塊状をなす.

154. 胆礬
Chalcanthite CuSO
4・5H2O
産地不明
胆礬(産地不明)は,石筍状脈石の頭部に形成された藍青色,1〜3mmの微小結晶である.p (111),m (110),v (021),k (011)などの面が認められる.

155. 明礬石
Alunite KAl
3(SO4)2(OH)6
産地 静岡県宇久須鉱山/兵庫県栃原
宇久須鉱山明礬石は,c (0001)面と,(10-13),(10-14),(10-15),あるいは(10-16)の菱面体面との組合せから成る,無色透明ないし白色半透明,5〜10mmの結晶の集合体である.c および(10-14)面から成る結晶を含む.菱面にはcr 晶帯に平行な条線が発達している.稀に,r およびc 面のみから成る6角板状結晶も見出される.
栃原産は灰紅色の緻密なものであって,珪岩に類似している.

メニューに戻る

総合研究博物館ホームページへ

前頁/後頁