もう少し詳しく 血管新生とは?

血管新生刺激によるもともと存在している血管内皮細胞の活性化に始まり、基底膜や細胞外基質の消化、細胞の増殖・遊走、そして再分化(管腔形成と基底膜再生)と周皮細胞による血管壁の再構築の各段階からなります。



VEGF は、Flt-1 と KDR の二つの受容体に結合することができ、血管内皮細胞では増殖や遊走などに関与しています。KDR のチロシンキナーゼを阻害する血管新生阻害剤について、私たちは VEGFのもう一つの受容体である Flt-1 のキナーゼも阻害することを発見しました。


(1) KDR には結合しないで Flt-1 にのみ結合する PlGF (placenta growth factor)を用いて、血管内皮細胞の遊走能をみました。PlGF によって誘導された遊走能は、VEGFR-TKI によって減少しました。


 

(2)マウスの皮下に PlGF を混ぜたマトリゲルを注入し、3日後に取りだしてマトリゲル内に侵入した管腔を計測し検討しました。

 PlGF を混ぜたマトリゲルは管腔が著明にみられましたが、
VEGFR-TKI を投与することで管腔の数は減少しました。


研究課題:血管の発生および新生の分子機構と関連疾病の診断・治療
研究組織:医学部・生体防御医学研究所・薬学部・歯学部・農学部
審査部門:生命科学  採択年度:H10-H11  種目:B  代表者:桑野 信彦(医学研究院 分子常態医学部門 教授)