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いろいろな形の手(前足)
 わたしたちが含まれるグループである哺乳類は、お母さんが赤ちゃんを産んで、お乳を与えて子育てをする仲間です。哺乳類の中には、地上、地下、空そして水中と、さまざまなところで生活する動物がいて、哺乳類のこのような生活方法は、一般にそれらの動物の手(前足)の形や働きの違いとしてみることができます。
 地上で生活する人間(ヒト)は、後足の2本だけで歩くことで、手が自由に使えるようになりました。ヒトの親指は、他の指と向かい合っていて、ものをつかみやすくなっています。

 地下に穴を掘って生活するモグラは、硬い土の中にもぐって生活するために、シャベルのような大きくて頑丈な前足をもっています。

 空を飛ぶコウモリは、前足の骨を長く伸ばし、指と指、前足と後足、後足と後足の間に膜を発達させて翼をつくり、これによって空を自由に飛べるようになりました。

 水中で生活するイルカは、前足を舟のオールのような形に変化させたことで、水中を自由に泳ぐことができます。

 動物たちは、その長い歴史を通じて、それぞれの生活方法に合わせて前足の形を変えています。このように哺乳類の前足は、いろいろな形や働きをもつように変化していますが、基本的には同じ骨からできていて、これを「相同」といいます。

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作成:飯田 弘 九州大学大学院 農学研究院 資源生物科学部門
     金子たかね 九州大学大学院 農学研究院 資源生物科学部門
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