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いろいろな形の歯
 わたしたちが食べ物をかむ時に使う歯は、化石として残りやすいほど硬いものですが、一方、食べ物の種類や行動に適応して、その数や形を変化しやすい特徴ももちます。
イヌ、ネコ、ライオンなどの肉食の動物は、一度かみついた獲物を逃さないために、あごの関節が上下方向にしか動きません。また、スパイク状の歯(犬歯)は、獲物を突き刺して捕らえるために大きく発達し、それ以外の歯は食べ物をかみ切る働きをもちます。
ヒト、サル、イノシシなどの雑食の動物は、あごの関節を主に上下に動かし、左右にもある程度動かすことができます。奥歯(臼歯)は、かみくだく働きとすりつぶす働きの両方をもちます。
ウシ、ウマ、シカなどの草食の動物は、口に入れた草をすりつぶすために、あごの関節がルーズで、あごが前後左右に自由に動きます。臼歯は、草をすりつぶすのに適した形になっています。同じ草食の動物でも、ネズミの臼歯は、プリズム状に発達していて、これも草をすりつぶすために発達したものです。また、ネズミの前歯(切歯)は、一生伸び続ける鋭い歯で、クルミなどの固い殻に穴をあけることができます。
イルカやマッコウクジラなどの動物は、何十個という同じ形の歯が並んでいて、これらの単純な歯は魚を捕らえるために適しています。松ぼっくり状の鱗をもつセンザンコウは、歯が全て退化していて、長い舌を使ってアリを口の中に入れ、そのまま飲み込みます。
 
作成:飯田 弘 九州大学大学院 農学研究院 資源生物科学部門
     金子たかね 九州大学大学院 農学研究院 資源生物科学部門
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