昔から日本には衣・食・住という言葉があります。これらの素材のほとんど全ては植物を原料にして作られています。これらの生産に関わる営みが農業です。
このコーナーでは植物の食料および環境(衣・住)への関わりを見てみましょう。


食料ですが、現在の世界の人口は60億で、2050年には100億になるといわれています。現在の世界の食料事情は、食料があまって輸出している国がある一方で、慢性的に食料不足が続いている国があり、約8億人が飢餓状態にあります。


国際連合食糧農業機関(FAO)はその減少に取り組んでいますが、容易ではありません。昔より人類は3000種の植物を食料として利用してきましたが、現在ではイネや麦に代表されるわずか20種の作物に依存しているにすぎません。このコーナーではその代表的な作物についてみてみましょう。

次に環境ですが、狭い意味での環境としては、植物は着ること、住むこと、癒すことなど食料以外の人間の日常生活の全てが関係しています。さらに広い意味での環境にたいして、現在、農業は重要な関係を持っています。肥料・農薬による河川の汚染といった問題を抱える一方で、水源保持、空気の清浄化およびCO2増加の抑制といった環境浄化の側面ももっています。人間は衣・食・住なくしては生きていけません。地球温暖化が進む中で、農業を通じてこれら生活の素材を得、しかも環境を悪化させず、浄化する道を探る必要があります。


パネル作成者: 福山 正隆(農学研究院植物資源科学部門)、廣田 修(熱帯農学研究センター作物生産部門)