倭人伝の道
2-5一支国
 はるのつじ 
 原の辻遺跡
 壱岐島東南部、深江田原(ふかえたばる)の舌状台地に位置する、旧石器時代〜中世にわたる複合遺跡。
 特に弥生時代の大規模な多重環濠集落跡として知られています。昭和26・36年に東亜考古学会が行った本格的な学術調査により学会の注目を集め、現在も長崎県が調査中です。『魏志』倭人伝に記載された一支国(いきこく)の中心集落として、平成12年度に国特別史跡に指定されました。
 集落形成は、弥生時代前期末に始まり、中期前半に多重の環濠を掘削して大集落となり、後期には環濠が再掘削されましたが、古墳時代前期に環濠は埋没して集落は衰退しました。環濠内側では掘立柱建物群・住居域・土坑(どこう)群・墓域などが、環濠外側では墓域・船着場状遺構・水田遺構・通路状遺構などが検出されています。
 北部九州地方を中心として近畿地方、さらには、大陸・朝鮮半島にいたる地域からの多量の搬入品が出土しており、海を介した広域交流が行われた交易拠点であったと考えられています。
原の辻遺跡遠景写真

原の辻遺跡概略図
長崎県教育委員会(編)2002「発掘「倭人伝」−海の王都、壱岐・原の辻遺跡展−」図録より
拡大図が御覧いただけます。→

作成者:石田智子(九州大学大学院比較社会文化学府)
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