古墳時代の北部九州の諸豪族
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 やまぐまかまあとぐん
 山隈窯跡群
 福岡県朝倉郡三輪町山隈の城山(じょんやま)(花立山(はなたてやま))と呼ばれる丘陵の東南側斜面に位置する窯跡群。
 1989年に九州大学考古学研究室によって発掘調査が行われ、あわせて4基の窯跡が確認されました。各窯跡からは須恵器、円筒埴輪(えんとうはにわ)、手づくね土器などが出土しています。須恵器は甕を中心として壺・高杯(たかつき)などが出土していますが、これらは「初期須恵器」と呼ばれる日本において最も早い段階の須恵器です。また量的には少ないながらも古墳に立て巡らす円筒埴輪が出土していることから、これらの窯で須恵器と円筒埴輪の両方が焼かれていたことがわかります。また一緒に出土した手づくね土器は、窯で何らかの祭祀が行われたことを示しています。以上の出土遺物の特徴からこの山隈窯跡群の操業年代は5世紀前半と考えられ、比較的短期間で操業が停止したようです。
 山隈窯跡群の周辺には他にも初期須恵器を製作したと考えられる小隈(こぐま)窯跡群、八並(やつなみ)窯跡群が存在しており、山隈窯跡群とあわせて朝倉窯跡群と総称されています。山隈窯跡群は、こうした筑後川中流域における初期須恵器生産の実態を考える上で貴重な資料を提示しています。

遠景
1号窯

作成者:能登原孝道(九州大学大学院比較社会文化学府)
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