寄主 - 寄生蜂系の共進化と共存持続性
- 種内競争力と抵抗性の間にトレードオフがあるとき -
(Tuda and Bonsall, 1999)


種内競争力と抵抗性(または種内競争力と病毒性)の間のトレードオフが寄主-寄生蜂系の動態と共進化に及ぼす影響をモデルで解明します。 抵抗性が種内競争力とトレードオフすると仮定した初めてのモデルです。


病毒性
内部寄生蜂は産卵時にウイルスなどを注入し,寄主の抵抗性(包囲作用)に対抗します
トレードオフ(二律背反)
ある形質が良くなると、他の形質が悪くなること




実現寄生率
 寄生率は、高過ぎても低過ぎても絶滅が起き、中くらいのとき寄主と寄生蜂が共存できました。
トレードオフ
 中くらいの寄生率の時、寄主集団のトレードオフは寄生バチとの共存に重要であることがわかりました。寄生バチ集団のトレードオフはあってもなくても絶滅に影響しませんでした。
多型の維持
 寄主集団では多型が維持されやすいのに対し、寄生蜂集団では病毒性の高い系統が最終的に選択され、多型はめったに維持されませんでした。高すぎる寄生率は、系を不安定にし、絶滅が起きるためです。


 全てに長じているより、一部の性質で勝っている方が、他者と共存しやすいと言えます。また他者との関係も、程良い強さのときに長続きしやすい、ということをモデルは示しています。


ポスター担当

津田 みどり (Midori TUDA)(農学研究院 天敵昆虫学分野・助手)


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