水田害虫とその天敵


水田害虫との戦い


わが国の米作は古くから虫害(トビイロウンカやセジロウンカなど)によって、大きな被害を受けてきました。徳川時代の享保の飢饉の原因は、ウンカ類が原因とされています。第二次世界大戦以降に発達した合成殺虫剤によって、被害面積率は低く押さえられるようになりました。




どこから来るの?


 日本におけるウンカ類の大発生は過去100年間に13回ありましたが、いずれもエルニーニョ現象が発生した翌年に生じていました。これはエルニーニョ現象によって、飛来源であるベトナム北部の冬季の気温が高くなり発生量が大きくなります。そして、翌年の梅雨季の下層ジェットに乗じて、ウンカ類が大量に飛来するために、被害が多きくなることが原因です。




生態系の崩壊


 水田には多くの害虫が発生する一方で、それを捕食寄生する天敵も多く生活していました。しかし、合成殺虫剤を使用する水田では、害虫のみならず天敵の種数も少なくなります。




現在の防除


 現在では、合成殺虫剤のみ頼らず、様々な防除方法を取り入れた総合防除によって水田生態系を維持しようとしています。合成殺虫剤を効果的に使い、減少していた天敵類を復活させたり、稲自体を害虫の被害を受けないような品種に改良したりしています。



ポスター担当

紙谷 聡志 (Satoshi KAMITANI)(農学研究院 昆虫学分野・助手)


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