北進しつつあるチョウの具体例


昨年、福岡市で初めて発生が確認されたタテハモドキ

 2000年8月27日、福岡市西区吉武の水田地域の休耕田で熱帯性の迷蝶とされるタテハモドキが山崎泰氏によって発見、翌30日には夏型10頭が採集されました。そして、その後、福田治氏によって同地に生えるオギノツメ(キツネノマゴ科)から複数の卵・幼虫が発見され、また、9月21日以降は夏世代の子孫と考えられる秋型の成虫も多数確認され、12月以降越冬に入りました(矢田他、2000による)。しかし、越冬後のタテハモドキの姿はまだ確認されていません。 


発見場所・オギノツメの群落地


5齢幼虫

夏型成虫

秋型成虫



タテハモドキの分布、既産地(宮崎以南)、
九州各県における最近の動向(熊本、長崎など)



宮崎と福岡の冬期の気温の年次変化



平均気温は宮崎と福岡で約1℃違います(福岡管区気象台観測)。そして、ここ30年ほどの間に1℃上昇したため、現在の福岡市は、ちょうどタテハモドキが定着し出した1960年代の宮崎市の気温になっています。すなわち、タテハモドキの定着の基盤ができたといえます。



昨年秋、福岡市で発生したカバマダラ


 カバマダラの場合も温暖化がベースとなって最近の北進が加速されているものと思われます。福岡市で幼虫が発見されたのは初めてです(矢後ら、2000による)。


成虫

(福田秀子氏採集、西日本新聞社提供)

野外で発見された2齢幼虫


カバマダラの発生地(福岡市東区千早)


ポスター担当

矢田 脩 (Osamu YATA)(比較社会文化研究院 生物多様性分野・教授)

矢後 勝也 (Masaya YAGO)(比較社会文化学府 生物多様性分野・院生)


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