ヒマラヤ山脈が成層圏に及ぼす影響
Influence of Himalaya Range on the stratosphere

ヒマラヤ山脈は成層圏(高度10km〜50km)にも大きな影響を与えています。
ヒマラヤ山脈のような大きな山脈は障害物となり、風はそれをよけるように吹きます。その結果、成層圏の大気循環に影響を及ぼします。左の図はその様子を模式的に描いたものです。


では実際にどのような影響が見られるのか、ヒマラヤ山脈などの山がある場合とない場合の成層圏の大気循環をコンピュータでシミュレーションしました。



右の2つの図は冬の北半球の、高度約25km付近の天気図です。
線が青いところほど低気圧になっており、線の赤いところほど高気圧になっています。風は等値線と平行に、低気圧の部分では反時計回りに、高気圧の部分では時計回りに吹いています。


山があるとした場合では、高気圧ができ、低気圧の形が楕円形をしているのがわかります。
一方、山がないとした場合では、低気圧がほぼ円形で、非常に発達しているのがわかります。


ところで、南半球は山が少ないため、その影響が小さいと考えられます。下の図は実際の冬の南半球の高度約25km付近の天気図です。

山がある場合


山がない場合


この図は山がない北半球の図によく似ています。
以上のことからヒマラヤ山脈が、北半球の成層圏の大気循環に、大きな影響を及ぼしていることが確認できます。


パネル作成者: 中野 満寿男、三好 勉信(理学研究院地球惑星科学部門)

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