生物の絶滅と進化(2)
Extinction and Evolution

二畳系ー三畳系の連続境界

 二畳系−三畳系の境界はPha Phlung山地域において三カ所で存在が確認できますが、連続した地層は世界中でも10カ所もありません.今回、タイ国のプレー市西方の国立公園“Coral Mountain”の石灰岩中に新たに発見されました.(図7,8)二畳系の層状石灰岩層は20cmから1mほどの厚さの黒色・泥質の岩相ですが、境界と推定される層理面を境に灰白色・塊状の石灰岩層に変わります.これまで二畳系石灰岩からはドイツの研究者により新種の海綿化石(Sponge)が報告され、また我々の研究室では同じ地層より、二畳紀後期(Late Changhsingian)を示す紡錘虫化石Palaeofusulinaを発見しています.現在この境界の前後の石灰岩層の詳しい岩相変化や化石群集の研究を行っています.

図7. Coral Mountainにおける二畳系ー三畳系の境界

Coral Mountain の層序

 調査地域は国立公園内にあるために、様々な制約があり困難ですが、これまで境界より下位約50mの二畳系中の小型有孔虫化石群集は、前述のPha Phlung山地域の上部の化石群集に対比されることが判りました(図8)

図8. Coral Mountainにおける模式柱状図と産出化石。
赤字の化石はPha Phlung山と共通種であり、地質年代を決定する紡錘虫、小型有孔虫

二畳紀最後の生物群

 二畳系の最後を確定するには幾つかの生物群がありますが、現在のところはコノドント化石(図10)に基づき決定されるのが、一般的です.コノドントという化石はどんな生物のどの部分なのか未だはっきりしません.しかし、石灰岩、チャート、珪質頁岩などから産出します.Coral Mountainの石灰岩を採集し、コノドント化石を検出する必要があります.中国では連続している地
層がありますが、砕屑岩層で構成されている場合が多く、この場合はアンモナイト化石により決定されています.タイ国では両方の化石が出ており、中国はじめ他の地域と対比するのに便利です(図9).


図9. タイ国と東南アジアおよびロシアの上部二畳系の対比
図10. 二畳紀最後のアンモナイト化石の一種とコノドント化石

パネル作成者: 石橋 毅、藤川将之、宇山隆二、杉山 武、盛田ひとみ(理学研究院地球惑星科学部門)

【会場マップに戻る】 【もどる】 【すすむ】