地熱環境の微生物と金鉱床の探査
Microbes in Geothermal Environments and Gold Exploration

1.地熱環境と微生物


 火山の近くにある地熱環境(熱水系)で金鉱床は形成されます。その地表には、温泉や間欠泉があり、好熱性の微生物が生息しています。湧き出した熱水からはシリカ(SiO2)が沈殿し、シンターが形成されます。




2.イエローストーンのシンター

 米国イエローストーン国立公園で採取したシンターを調べると、微生物の表面にシリカが沈殿している様子が観察できました。また、NMR(核磁気共鳴法)で分析してみると、アルミが微生物の表面に6配位の状態で結合していることが分りました。




シンター表面を覆う
オレンジ色の好熱性微生物


走査型電子顕微鏡で見た
微生物表面の球状シリカ


微生物表面へのアルミの結合モデル

3.菱刈金鉱床の石英脈

 鹿児島県菱刈町には、金の含有率が世界最高の金鉱床があります。ここでは金は石英脈中のアルミに富む部分に濃集しています。室内実験ではアルミの表面に金が効率よく吸着する事を確認しました。
 私たちは、金鉱床を形成する熱水系の地表にできる、微生物が関与したシンターを手がかりにすることで、金鉱床の探査に役立てることができると考えています。


1トンあたり9kgの金を含む
菱刈鉱床の含金石英脈

反射顕微鏡で見た
石英脈中の金

パネル作成者:井沢英二、渡辺公一郎 (工学研究院地球資源システム工学部門)、中西哲也(総合研究博物館)

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