EGF やその受容体は多くの固形がんで高発現しており、一般に浸潤・転移・予後不良と相関があるといわれています。EGF 受容体チロシンキナーゼ阻害剤 (EGFR-TKI) はがん細胞の増殖・生存・血管新生などを抑制すると考えられています。今回私たちは、EGFR-TKI が間接および直接的に血管内皮細胞に働き、血管新生を阻害することを示しました。


(1)がん細胞において、EGF 誘導により血管新生促進因子(VEGF, IL-8)が産生され EGFR-TKI はその産生を濃度依存的に抑えました。


 

(2)ヒト微小血管内皮細胞において、EGFR-TKI は EGF 誘導による管腔形成を抑制しました。



(3)マウス角膜法において、 VEGFR-TKI は VEGF 誘導の血管新生を、
EGFR-TKI は EGF 誘導の血管新生を抑制しました。


研究課題:血管の発生および新生の分子機構と関連疾病の診断・治療
研究組織:医学部・生体防御医学研究所・薬学部・歯学部・農学部
審査部門:生命科学  採択年度:H10-H11  種目:B  代表者:桑野 信彦(医学研究院 分子常態医学部門 教授)