独自の再組織化手法:ミクロ肝臓の形成
高性能なハイブリッド型人工肝臓の開発には,培養肝細胞を組織化(オルガノイド形成)させて,高機能発現を長期機能維持させることが必要である。従来より用いられている肝細胞単層培養では,数日間のうちに機能が消失し,実用的な人工肝臓は困難であった。このような状況の中,我々は2つの独自な肝細胞組織化手法を開発した。生体適合性高分子材料であるポリウレタン発泡体(PUF)孔内でラット,イヌ,ブタの肝細胞を培養すると,約200個の肝細胞が集合し,直径150μm程度の球状組織体(スフェロイド)が自発的に形成される。形成されたスフェロイドは重要な肝機能(アンモニア除去能やアルブミン分泌能)を少なくとも2週間以上良好に維持できる。
一方,半透性の中空糸膜の内部あるいは外部に充填した肝細胞に適度な遠心力を加えることによって,肝細胞オルガノイドが形成される。形成されたオルガノイドは5ヶ月以上もの長期間にわたって主要な肝機能を維持できる。
このように形成されたオルガノイドは,生体肝臓組織に類似した構造(細胞間結合や胆管様構造等)が再構築されており,一種のミクロ肝臓と呼ぶことができる。
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