低温地熱:温泉を探す

 温泉という現象に注目してみると、たとえば福岡市内の温泉のように、近くに火山がなくても温泉が出ることがあります。これはなぜでしょう。


 地熱地域でない普通の地域でも、地下深くなればなるほど温度が高くなります。その度合いは、多少ばらつきはありますが100mあたり約3℃です。ですから、地下1000mを超えるような深さまでしみこんだ地下水は周囲の地層により暖められてお湯になります。そしてこのお湯が地下の割れ目を通って冷めてしまう前に地表に湧き出すと温泉になります。

 逆に言えば、地下深部から地表までつながるお湯の流路となるような割れ目を探してそこにボーリングすれば、温泉が出る可能性が高くなります。

断層に沿った地下の割れ目を通って地下深くから上昇してきた温泉水が、地下にしみこんだ雨水と混合して、すきまの多い地層中に温泉帯水層を形成します。

 温泉探査は、重力を測ったり地面に電気を流したり、あるいは地中温度や地下からしみ出すガスの濃度を測ったりして、地下の割れ目や温度の高い場所を探します。

場所による重力の強さの違い(地上の重力の10万分の1くらいの違い)から重くて固い岩盤の深さを推定します。重い岩盤が浅い場所では重力は強くなり、深い場所では弱くなります。重力が急に変わるところには断層や破砕帯の存在が考えられます。
自然に発生したあるいは人工的に作られた磁場の強さと、その磁場によって大地に引き起こされた電場の強さを測定することによって、電気の流れやすい場所(低比抵抗部)を探します。低比抵抗部には温泉水の存在が期待されます。


パネル作成者:藤光康宏、西島 潤、江原幸雄(工学研究院地球資源システム工学部門)

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