地熱研究が火山噴火予知に役立った −九重火山噴火1995年噴火− (2)


 新噴火口群からは噴気と共に火山灰が噴出し、噴煙高度は一時1000mを超えました。

 また同年12月には2度目の火山灰噴火を起こしました。

 私たちは最初の噴火直後から多くの他機関と共に集中的な火山観測を行いました。


 新噴火口群からの放熱量は最初の噴火から2カ月間は2000MWを超えていましたがその後急激に低下し、噴火8カ月後あたりで一度1500MW程度まで回復した後は緩やかに減少を続けました。今でもまだ噴火前の数倍の放熱量があります。

 また、噴気地域から放出される火山ガスに含まれている塩化水素(HCl)の一日あたりの量は、噴火4カ月前頃からそれまでに比較して異常に多くなっていました。この変化は噴火活動の前兆であると考えています。


 さらに、2度目の噴火の火山灰には新鮮な発泡ガラスが含まれていたため、噴火には新しいマグマが関与していた可能性があることが分かりました。


 新火口からの噴気活動は現在も続いています。

パネル作成者:藤光康宏、西島 潤、江原幸雄、糸井龍一、渡辺公一郎(工学研究院地球資源システム工学部門)

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