地熱に関連する展示物の紹介

カスター型温度・圧力検層器
 坑井内の温度や圧力は、検層器と呼ばれる測定器を坑井内に降ろしながら測定します。検層器はオンライン型とオフライン型の2つに分けられますが、カスター型検層器はオフライン型の検層器で、ゼンマイが動力の機械じかけの時計部、記録部、センサー部で構成されています。高温中では電子機器が働かなくなるため、技術が進歩してきた現在でもこのような機械じかけの検層器が使われています。(幅140cm)
センサーの測定範囲
温度計:-4℃〜370℃ 圧力計:0〜2100kg/cm2(通常は0-200 kg/cm2のセンサーを使用)

記録紙の読みとり装置

 検層器で測定した坑井内の圧力や温度のデータを顕微鏡を使って読みとります。台の上におかれた黒いカーボンを塗り付けた長方形の記録紙をよく見ると、隅の方に金色に光る階段状の引っかき傷が見えます。記録紙の長辺の方向に経過時間、短辺方向に圧力の変化量が記録されています。この変化量を顕微鏡を用いて正確に読みとり、圧力の値に換算します。記録紙には坑井内で深さをいくつか変えて測定した圧力が記録されています。目的の深さにまで検層器を下ろしたら、15分程度そのままにしておきます。すると、圧力計に取り付けた針がこの深さでの圧力の値を保ったまま、検層器内の時計が記録紙を長辺方向に移動させるので階段状に同じ値を示す部分が記録されていきます。深さは検層器を坑井内に下ろす時に、送り込んだワイヤーの長さを測ることによって知ることができます。


1kW級マイクロ地熱発電装置

 火山エネルギー利用の研究として、火山噴気を直接利用する発電方式の基礎実験のために試作した発電装置です。1993年には大分県九重町牧の戸温泉にある九重観光ホテルの協力を得て、同ホテル敷地内の噴気井で性能試験及び発電実験を行いました。(幅120cm)



発電実験の模様


小型背圧4段反復衝撃タービン

 蒸気ノズルから回転翼に蒸気を吹き付けて回転させるものを衝撃式タービンといいます。地熱蒸気は火力や原子力の蒸気ほど温度・圧力が高くありません。また、このタービンは通常のものに比べ超小型となっており、大きな出力を得るためにはいろいろな工夫が必要になります。そこで、この研究では衝撃式タービンにノズルから流入した地熱蒸気を4回回転翼に吹き付けることにより、小型で1kwの発電出力を実現しています。


地熱発電所熱水輸送管内のシリカスケール

 地熱発電所において気水分離器で蒸気から分けられた熱水は、熱水輸送管から還元井を通って地中に戻されます。熱水輸送管などを通るうちに熱水の温度が下がってくると、熱水中に溶けていたケイ酸(シリカ)がパイプ内部に付着するようになります。付着したシリカは年輪状に成長して行き、パイプを詰まらせてしまうこともあります。金鉱床ほどではありませんが、シリカスケール中には熱水中の金が濃縮されています。(幅50cm)
1993年採取、1995年2月提供
九州電力八丁原地熱発電所(大分県九重町)


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