性(メス・オス)ってなに?
 私たちにはメスとオスの二つの性があります。メスは卵をつくり、オスは精子をつくります。この卵と精子がいっしょになって子が生まれます。
 私たちホ乳類の場合、生まれたときにはすでに性が決まっていて、一生の間に性が変わることはありません。
ホシササノハベラは一生の間に性を変える!
 ホシササノハベラは、ベラという魚の仲間です。西日本の海の岩場にたくさんいます
 ホシササノハベラはメスとして生まれてきて、大きくなるとオスに変わります。このように一生の途中でオスになったりメスになったりすることを性転換といいます。


 オスになったりメスになったりすることを性転換といいます。
どんな時に性転換するの?
なぜ性転換するの?
 オスとしてなわばりをもち、たくさんのメスと交尾することができれば、たくさんの自分の子供を残すことができます。しかし、小さいうちからオスになっても、他の大きなオスとのなわばりの取り合いに負けてしまい、メスと卵を産むことができません。だから、自分の子供をたくさん残すためには、小さいうちはメスとして卵を産み、なわばりをもてる大きさになったときに、オスに変わるのがよいのです。
オスからメスヘはもどれないの?


ホルモンってなに?
 ホルモンとは体のなかでいろいろな情報を伝える化学物質のことで、私たち動物のからだはいろいろなホルモンの働きでうまく調節されています。なかでも女性ホルモンや男性ホルモンといった性ホルモンは生殖腺のなかで卵や精子をつくるのに大切な働きをしています。
生殖腺って・・・
 卵や精子をつくるところ。メスでは卵巣、オスでは精巣といわれます。たとえば、たらこはタラの卵巣、白子はフグなどの精巣です。
性転換のしくみ(オスになったりメスになったりすることを性転換といいます。)
 ベラでは、メスからオスヘ性転換する時に大切な働きをしているのは、11-ケトテストステロン(11- KT)という男性ホルモンです。
 メスからオスに性転換するときに生殖腺で11−KTがつくられます。この11−KTは生殖腺を卵巣から精巣へ変えて精子をつくらせます。また、体の色をオスヘ変える働きもあります



他の性転換魚たち
メスからオスへ変わる魚
1.マハタ
2.キュウセン
3.キンギョハタダイ
4.オウムブダイ
5.キダイ
6.コウライトラギス
オスからメスへ変わる魚
7.クマノミ
8.クロダイ
9.コチ
10.ハナヒゲウツボ
オスとメスのどちらにも変わる魚
11.ダルマハゼ
12.オキナワベニハゼ
13.ホンソメワケベラ
14.アカハラヤッコ       15.オキゴンベ
同時に卵と精子をつくる魚(おなかの中に卵と精子)
16.ブラックハムレット
17.マングローブキリフィッシュ
18.アオエメソの仲間
19.ミズウオ
 約300種類のさかなが性転換することがわかっています。その中には川のさかなも含まれています。また、性転換のきっかけもベラのように環境によるものもあれば、年や体の長さによるものなど、魚によってちがいます。さらに、卵巣と精巣を同時に持って卵と精子の両方を作り、卵を産む相手と交代で卵と精子を出し合う魚もいます。このように魚にはいろいろな“性のかたち”があり、私たち生き物の“性”のしくみを知るためのとてもよい研究材料になります。
写真提供
1-10, 12-15, 19: 魚類写真資料データベース
 (research.kahaku.go.jp/zoology/photoDB/)
11:向井貴彦さん ”私的ハゼの百科事典”
(homepage2.nifty.com/PhD-mukai/)
16: Robert Fenner さん(wetwebfotos.com)
17: Robert Rice さん(www.nativefish.org)
18: Thomas Gloerfelt-Tarp さん
("Trawled fishes to Southern Indonesia
and Northwestern Australia" 1985 より)

趣旨をご理解いただき、快く写真を提供して下さいました。ご協力ありがとうございます。

作成者 太田耕平 おおたこうへい (農学研究院動物資源科学部門)