九州の地殻変動(2)
Tectonics of Kyushu, II

GPSによって観測された地殻変動

右の図は、1996年4月1日〜1999年12月31日における1年間あたりの地殻変動を示しています。中部、近畿、四国地方ではフィリピン海プレートの引きずりが地殻変動にはっきりと表れています。一方、九州南部の南東方向の地殻変動は、単純なフィリピン海プレートの沈み込みでは説明できません。九州地方に特異な流れがマントル内に生じていることを示しているのかも知れません。




フィリピン海プレートの深さ(単位はkm)

プレート境界では微小地震が多発しています。その地震観測から、四国沖の南海トラフから西南日本の下へ沈み込むフィリピン海プレートの形を推定することができます。フィリピン海プレートは四国沖では浅い角度で沈み込んでいるのに対して、九州南東部沖では急に角度が深くなります。等深線が描かれていないところにもプレートは存在しています。


プレートの結合の強さ(単位はcm/年)

GPS観測データをコンピューターで解析して、ユーラシアプレートがフィリピン海プレートに引きずり込まれている様子を計算することが出来ます(右の図の赤色の矢印)。プレートが強く引きずり込まれている領域は水色で示されており、紀伊半島沖や四国沖では将来、1944年東南海、1946年南海地震のような海溝型巨大地震が発生する可能性があります。また、日向灘では太平洋に向かう大きなすべりが見られます。これは、九州が南東方向に動いていることや、1996年10月、12月の日向灘地震、1997年3月、5月の鹿児島県北西部地震の影響を反映していると考えられます。


パネル作成者: 並木則行(理学研究院地球惑星科学部門) 
データ提供: 吉岡祥一(理学研究院地球惑星科学部門) 

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