■弥生人の地域差■

 弥生時代は、日本列島の住人の特徴に激しい変化の起きた時期であった。比較的均質だった縄文人に較べ、弥生人には地域によってその特徴に大きな違いが現れ始める。中でも、縄文人と較べて際だった違いを見せるのが、北部九州や響灘沿岸部から出土した弥生人骨である。彼らはひどく面長で扁平な顔をした、高身長の人々であった。これまでの諸研究に加え、近年、古代朝鮮半島や中国に同じ特徴を持つ人々が住んでいたことが確認されたことから、こうした弥生人を渡来人、もしくはその遺伝的影響を受けた人々とする見解がほぼ確定した。とうぜん、その遺伝的影響を受けなかった地域の弥生人は、土着の縄文人的な形質を残したままだったろう。実際に、ほぼ同時期の西北九州の沿岸部や南九州、あるいは東日本には縄文人に似た弥生人が住んでいたことが確認されている。


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