■響灘沿岸部の弥生人■

 山口県の響灘沿岸部には、土井ケ浜遺跡をはじめとして中ノ浜遺跡や吉母浜遺跡など、大量の弥生人骨が出土した砂丘遺跡が点在する。特に昭和28年から金関丈夫らによって発掘調査された土井ケ浜遺跡では、それまで全国でもわずかな出土例しかなかった弥生人骨が一気に200体以上も発見され、以後の研究進展に大きく寄与した。


 この地方の弥生人は、弥生前期から中期のものが多く、概して顔面の扁平性が強く面長で、背も高い(男性平均:163.3cm、女性151.4cm)。また、上顎の犬歯、側切歯を対象とした抜歯風習の痕跡が多く見られ、南海産のゴホウラ製貝輪を装着した人物なども発見されている。


「山陰の弥生人」に戻る/目次から始める/「北部九州の甕棺墓の弥生人」に進む