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I. 元素鉱物

1. 石墨
Graphite C
産地 岐阜県神岡鉱山/清津
神岡鉱山石墨は結晶質石灰岩中に鱗片状の微晶が散在する.
河津産は,鉄黒色不透明,金属光沢を有する鱗状黒鉛であって,石英脈中に放射状に集合し,球状または楕円状の塊を形成する.球の径は2〜5cmである.ほかに片麻岩中に脈状をなすもの,微晶質の土状黒鉛,六角鱗片状の標本等がある.

2. 硫黄
Sulphur S
産地 北海道十勝岳/北海道岩尾登/熊本県阿蘇山/台湾金瓜石
岩尾登産硫黄は湖底に沈澱固結したもので,淡黄色,微粉の硫黄が厚さおよそ3cm程度の見事な層状をなしている.
阿蘇山の塊状硫黄は,半透明で,燈黄色と黄色の二つの部分よりなる.黄色部分の割れ目に数mmの柱状結晶が存在し,p(111)面が認められる.
金瓜石産は火山岩を網状に鉱染したもので,樹脂光沢,美黄色を呈するが,結晶は不明瞭である.

3. 砒
Arsenic As
産地 福井県赤谷鉱山
3個の砒の標本はすべて赤谷鉱山である.流紋岩中に晶出しており,結晶はr (10-11)面から成り,径は1〜3mmで,暗灰色の集合体を形成している.集合体は金米糖のような球状を呈し,径は7〜15mmである.

4. 蒼鉛
Bismuth Bi
産地 福島県石川山/栃木県足尾鉱山/兵庫県生野鉱山/山口県長登鉱山
蒼鉛は6標本ある.帯紅灰白色を呈し,劈開面は金属光沢を有する.
足尾鉱山産蒼鉛は石英脈中に数mmの粒状集合体をなし散在している.
石川山産はペグマタイトの中に産するもので,厚さ5〜8mmの脈状集合体をなす.
生野鉱山は珪化した母岩中に,石英,黄銅鉱と共出する.大きさは集合体として5cmに達する.

5. 金
Gold Au
産地 北海道枝幸/北海道手稲鉱山/北海道雄武威鉱山/秋田県太良鉱山/宮城県大谷鉱山/福島県高玉鉱山/新潟県佐渡鉱山/静岡県河津鉱山/静岡県土肥鉱山/福井県大身谷/兵庫県生野鉱山/兵庫県中瀬鉱山/兵庫県沖ノ浦鉱山/兵庫県竹野鉱山/大分県鯛生鉱山/台湾瑞芳
金の標本は自然金,金鉱,金銀鉱などと名づけられており,標本数は20数個にのぼる.それらは産出状態により,(1)砂金として産するもの,(2)石英脈中に産するもの,(3)石英を主とする鉱石の灰黒色,縞目の部分,すなわち銀黒の中に産するもの,の3つに分けることができる.いずれも遊離した微細な金粒として存在する.(3)の一部は肉眼的には金粒を認めがたい.
枝幸産は(1)の型の砂金で,結晶形は確認できないが粒径は数mmに達する.
瑞芳産は(2)の型に属し,堆積岩中の石英脈の空隙に数mm程度の苔状の集合体をなしている.美しい黄金色を呈する.中瀬鉱山は石英脈中に輝安鉱と共出する.
(3)の型の標本は多数ある.雄武威鉱山産,生野鉱山産は灰黒色の銀黒の中に金粒が点在している.肉眼的に金粒が認めがたい標本は,佐渡鉱山産,太良鉱山産,中瀬鉱山産,高玉鉱山竹野鉱山産,大身谷産等の鉱石である.
手稲鉱山産,河津鉱山産,大谷鉱山産はテルル蒼鉛鉱を含む.沖ノ浦鉱山産は縞が輪状をなす輪鉱である.

6. 銀
Silver Ag
産地 新潟県岩出鉱山/福井県大身谷/兵庫県生野鉱山/島根県大森鉱山
岩出鉱山銀は銀白色,金属光沢を有するひげ状結晶の集合である.
生野鉱山産には,斑銅鉱中に薄板状をなすものと,黄銅鉱を伴う鉱石中に細い針状をなして含まれるものがある.
大森鉱山産は安山岩質の母岩中に鉱染状をなし,福石と呼ばれるものである.
大身谷産は,礫岩中の安山岩質礫の周辺部に銀黒が形成されている.

7. 銅
Copper Cu
産地 秋田県尾去沢鉱山/秋田県荒川鉱山/島根県岩美鉱山
荒川鉱山産銅は樹枝状集合をなし,樹枝の拡がりが20cmに達する標本で,無艶,銅赤色ないし褐色である.
岩美鉱山産は糸くず状の銅が集合して暗紫色,径約6cmの塊状をなす.
尾去沢鉱山は径5〜8mmの円粒の集合体である.金属光沢を有し,鮮かな銅赤色を呈する.

8. イリドスミン
Iridosmine IrOs
産地不明
イリドスミン(産地不明)は,クロム鉄鉱を斑状に含む超塩基性岩中に,径6mm程度の塊として含まれる.銀灰白色で,金属光沢を有する.

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