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VII.珪酸塩鉱物(4)

99. 藍晶石
Cyanite Al
2SiO5
産地 朝鮮九心里
九心里藍晶石は青色薄板状結晶で,(001)の男開が著しい.表面には白雲母が付着している.

100. ダトー石
Datolite CaB(SiO
4)OH
産地 宮崎県山裏(登尾)
山裏のダトー石は,石灰岩の接触変成帯に水晶,斧石などを伴って産し,一般に無色透明ないし半透明結晶であるが,淡黄色を呈することもある.高(1902)の形態的研究によれば,約20種の面が知られており,a (100),b (010),c (001),m (110),t (103),g (012),n (111),ε (-112),mx (011),x (102)面がその主要なものである.同産標本はx およびε 面で特徴づけられ,とくにε 面が発達して斜方向に柱状をなす.最大径2cmに達する,小さなn m 面も伴い,m 面においては横の条線が著しい.まれにa g mx λ (-113),o (120)の微小面も認められる.なお,これらの面は腐食作用をうけており,x 面は輪廓を残してゆるやかに凹む場合があり,平滑さを欠いている.

101. ガドリン石
Gadolinite FeY
2Be2Si2O10
産地 三重県石榑南
本邦におけるガドリン石の産出は,本産地のペグマタイト晶洞から採集されたものについて,高が報告したものが最初とされている(長島・長島,1960).
石榑南は初産標本であるか否かは不明であるが,黒色,不透明,ガラス光沢を有する径約1.5cmの双晶である.c (001),p (111),m (110)を主面とする2個体が,(110)を双晶面とする双晶を形成している.i (013),w (012),q (011)の微小面も認められる.

102. イットリア石
Yttrialite (Y, Th)
2Si2O7
産地 福島県飯坂
飯坂イットリア石は長石および鉄雲母lepidomelaneに伴い,両者の接触部に認められる.
新鮮な部分は濃緑色透明であって,ガラス光沢,貝殻状断口を有する.表面は変質しており,最表部は橙黄色,次は赤褐色樹脂光沢を示す.結晶面は判然としない.

103. 桃簾石
Thulite Ca
2Al3(SiO4)3OH
産地 愛媛県明神島/福岡県金武
金武桃簾石は,白色長石中に美しい桃色を呈して散在する.微細な柱状をなし,ガラス光沢を有する.
明神島産は,長石および石英の間隙に,淡桃色の不規則な形をなして含まれる.

104. 緑簾石
Epidote Ca
2(Al, Fe)3(SiO4)3OH
産地 岩手県釜石鉱山/長野県武石/福岡県吉原鉱山/産地不明
武石産緑簾石は,変質凝灰岩中の球塊の径10cmに達する晶洞中に,径1mm,長さ5mm程度の針状結晶が群生している.c (001),a (100),r (-101),u (210),e (-201),i (-102)面が認められ,多くの場合にc a r 面がよく発達している.結晶はb軸方向に伸びており,端面u で鋭くきられた形態をなす.
釜石鉱山産および吉原鉱山産は,接触交代鉱床に伴う緑色柱状ないし針状結晶で,端面を欠く場合が多い.釜石鉱山産は,塊状磁鉄鉱の空隙に石英と共生する.柱径2mm,長さ10mm程度の六角柱状をなし,a (100),c (001),r (-101)面とともに,端面u (210),n (-111)が認められることがある.吉原鉱山産は濃緑色を呈する針状結晶であって,長さは6cmに達し,放射状集合体をなす.

105. 紅簾石
Piemontite Ca
2(Al, Fe, Mn)3(SiO4)3OH
産地 徳島県大滝山/福岡県神ノ島/長崎県西彼杵
大滝山産紅簾石は雲母とともに雲母紅簾片岩を構成している.鮮かな赤紅色を呈し,b 軸に伸びた柱状をなす.径2mm,長さ7mm程度である.
西彼杵大滝山産同様に,雲母片岩中の微細な暗赤色針状結晶で,密に集合して珪質部とともに縞状をなす.
神ノ島産は石英片岩中に斑点状をなしている.

106. 褐簾石
Allanite (Ca, Ce, La, Na)
2(Al, Fe, Mn, Be, Mg)3(SiO4)3OH
産地不明
褐簾石(産地不明)は青黒色の柱状結晶で,径は1.5cmに達する.c (001),a (100),l (-201),r (-101),s (-203)等の面が認められるが,端面を欠いている.

107. 斧石
Axinite Ca
2(Fe, Mn)Al2(BO3)(Si4O12)OH
埼玉県秩父鉱山/大分県尾平鉱山/尾平鉱山(ハジカミ)/宮崎県山裏

斧石標本は50個の多くを数えるが,ほとんど大部分が尾平鉱山および山裏産であり,特に尾平鉱山については,ハジカミ晶洞坑大蔵谷五月山銀鋪等の各地から採集されている.これらは接触変成帯に群生するもので,単結晶をなすものは少なく,多くの場合,銀鋪産に見られるような花弁状,晶洞坑産に見られるような扇状等の集合体をなす.色は一般に暗褐色ないし淡褐色を呈するが,やや紫色を帯びるものもある.尾平および山裏産斧石の形態について,HARADA (1939)の総括的研究があり,その結果によれば,
M (10-1),m (110),b (010),Y (-1-11),r (011),s (-121),x (-111),z (012),c (001),l (1-20),g (-103),f (-102),q (-2-11),a (100)の諸面が認められ,M b r z 面には条線が発達する.形態は次の6つの型に細分されている.

(1) r a 面の著しい発達と,Y M 面で特徴づけられる厚板状結晶で,これにc z x s l b q の小面が伴うもの.すなわち,〔01-1〕,〔011〕晶帯に属する面の発達が著しい.尾平産および同大蔵谷産がこの型に属するが,c s x 面は極めて弱いかこれを欠いている.結晶は大きいもので厚さ5mm,短径6mm,長径13mm程度である.
(2) (1)型に似るが,r 面が極めて大きく発達し,b l M a 面が細長く伸びた薄板状結晶で,z c 面を欠くもの.尾平産および同ハジカミ産がこの型に属するが,q s x 面は発達が弱いかあるいはこれを欠き,l M 面も強い条線のため塊が不鮮明となる.結晶は厚さ1〜4mm,径1〜1.8cmの大きさである.また,尾平ハジカミ産に見られるように,この(2)型の結晶が平行連晶をなすと,面が多少彎曲した(1)型の厚板状晶相となる.
(3) l s x の小面も認められるが,r b M 面の発達で特徴づけられ,このため結晶は3角状に尖った晶相を示すもの.
尾平がこの型に属する.いずれもl面を欠き,大きさは短径10mm,長径15mm,厚さ6mm程度である.このうちr b M の3面から成り,稀に細いx 面を伴うものが認められ,また,s x 面が比較的大きく発達して,次の(4)型に近い晶相を示す結晶も見出される.
(4) (3)型に似るがr s b M x 面がほぼ等大に発達し,鋭稜を有するうすい晶相のもの,すなわち〔11-1〕と〔101〕晶帯に属する面だけから成るもの.山裏産がこの型の典型的な標本で,大きさは短径15mm,長径30mm,厚さ8mmに達する.
(5) (3)型に似てr M b 面が大きく発達するが,〔11-1〕晶帯軸方向に伸びた晶相で,a x z 面も比較的良く発達し,細いm 面を伴うもの.
(6) 〔100〕晶帯に属するb M 面と,〔001〕晶帯に属するr z 面の発達で特徴づけられるが,b M 面が細長いため,楔形状晶相を呈するもので,l s x c g f の小面を伴う.
(5) および(6)型は,典型的な標本はみられないが,両型の中間型が認められる.尾平ハジカミ,同五月山産がこれにあたり,a x の小面を伴ってM b r z 面が大きく発達し,鋭い楔形をなす.大きさは短径2.5cm,長径5cmにも達する大晶である.
秩父鉱山産はホルンフェルスの空隙に,白色ないし灰緑色の,径2〜3mmの小結晶が群生している.

108. 珪灰鉄鉱
Ilvaite CaFe2+
2(Fe3+OH)(SiO4)2
大分県尾平鉱山
尾平鉱山珪灰鉄鉱は,石灰岩の接触変成帯からの産出で,石英を伴っている.結晶は径1mmに満たない漆黒色の針状結晶で,放射状集合をなす.

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