タンパク質の働き場所を決めている情報は?

働き場所を決めている情報について、私たちの研究成果の一部を紹介します。

小胞体とミトコンドリア外膜への仕分け

情報の中には非常に厳密なものがあり,1、2個のアミノ酸の違いにより別の場所に行ってしまうものもあります。

上の2つのオルガネラへの情報の違いは、1アミノ酸の電荷の違いです。

生体膜への埋まり方もアミノ酸配列で決まる

細胞やオルガネラの境界を作っている生体膜の中でどちら側に向いて埋まっているかもアミノ酸配列により決められています。

リソゾーム行きの情報

リソゾームへの情報の一つはタンパク質の後端部(カルボキシ末端部)に存在する連続したロイシン/イソロイシンです。

小胞体に留まる情報

行き先を示す情報ばかりでなく、輸送される経路の途中である場所に留まるための情報もあります。

ゴルジ装置に輸送されるかどうかは疎水性部の長さによります。


多くの研究から、タンパク質の働き場所を示す情報はほぼ分かってきました。しかし、オルガネラがどのようにしてその情報を読みとり、どのようにしてオルガネラの中に受け入れているか、その過程で働いているタンパク質や機構についてはまだよく分かっていません。これからの課題です。


研究課題:生体膜構築と局在蛋白質の分子機能解析
研究組織:理学部・医学部・薬学部・医学系研究科
審査部門:生命科学  採択年度:H9-H10  種目:B  代表者:伊藤 明夫(理学研究院 化学部門 教授)