石炭の役割 −過去・現在・未来− (1)

石炭利用の歴史

 石炭は紀元前にすでにその存在が知られていたようですが,本格的に使用されるようになったのは,18世紀の後半ワットが蒸気機関を改良したことがきっかけです。この蒸気機関の燃料として,石炭は大量に使われるようになりました。


 やがて日本でも19世紀の終わりごろまでに,火力発電所や蒸気機関車の燃料に,また製鉄用のコークスやガス製造の原料として本格的に石炭が掘られるようになりました。

 1960年頃になると,安い値段で手に入り輸送や貯蔵に便利な石油がエネルギーの主役となります。いわゆる「エネルギー革命」です。この後石油の利用が大きく伸びますが,1973年・1979年に「オイルショック」が起こり,石油の値段はとても高くなりました。エネルギーを石油だけに頼るのは危ないとして,石炭の利用が見直されるようになりました。


 日本では,多いときには年間5500万トン以上の石炭を生産し,石炭鉱山(炭鉱)の数も800以上ありました。しかし石油の登場とともに生産量・炭鉱数は減少していきます。さらに国内より値段の安い海外の石炭が使われるようになり,生産量は大きく落ち込みました。

 現在では年間400万トンしか生産しておらず,主な炭鉱も北海道の太平洋炭鉱と長崎の池島炭鉱の2つだけになってしまいました。


 現在,日本はほとんどのエネルギー資源を輸入に頼っています。石炭も1年間になんとおよそ1億5000万トン(2000年)も輸入しています。これは世界の石炭貿易量のおよそ4分の1の量です。日本は世界一の石炭輸入国なのです。したがって,この石炭を安定して輸入できることが,非常に大切なことになります。

パネル作成者:一ノ瀬政友(地球資源システム工学部門資源開発工学研究室)、島田英樹(地球資源システム工学部門岩盤・開発機械システム工学研究室)、富田新二(JCOAL) 


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