石炭の役割 −過去・現在・未来− (2)

石炭の埋蔵量

 石油や天然ガスといったエネルギー資源は,現在のペースで使い続けると,石油は約40年,天然ガスは約60年,また原子力発電の燃料であるウランでも約70年でなくなってしまいます。

 これに対して,石炭はまだあと約230年分残っています。もちろん日本にも世界的に見れば少ない量ですが,確認埋蔵量として約80億トン以上が残っています。この量は日本が現在までに採掘した量の3倍以上に当たります。さらに石炭は,中東に約2/3が偏在している石油とは異なり,世界中に広く分布しており,石油より安定した供給が行いやすく,また価格も低く安定しているという利点があります。石炭は21世紀における重要なエネルギー資源であるといえるでしょう。

環境問題

 石炭は燃やすことにより二酸化炭素や硫黄酸化物・窒素酸化物などを発生します。これらの物質は地球温暖化や酸性雨の原因となります。地球温暖化が進むと,南極の氷がとけ出すなど環境に大きな影響をあたえます。

 酸性雨は物質をとかす力が強く,生物を傷つける力も持っており,これが原因で湖の魚がすべて死んでしまったり,森林が枯れてしまったりしたところもあります。

 この問題を解決するため,最近では石炭をきれいに使うための技術が開発されています。これをクリーン・コール・テクノロジーといいます。例えば工場や発電所では,特別な装置を使って硫黄酸化物や窒素酸化物を外に出さないようにして酸性雨の原因を取り除いたり,石炭を燃やしたときにでる二酸化炭素を少なくして地球温暖化の原因を取り除いたりしています。

パネル作成者:一ノ瀬政友(地球資源システム工学部門資源開発工学研究室)、島田英樹(地球資源システム工学部門岩盤・開発機械システム工学研究室)、富田新二(JCOAL)


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