シリカスケール −ありがたくない地下からの贈り物−

 一般に地熱発電所では、気水分離器で蒸気から分けられた熱水は、熱水輸送管から還元井を通って地中に戻されます。熱水輸送管などを通るうちに熱水の温度が下がってくると、熱水中に溶けていたケイ酸(シリカ)がパイプ内部に付着するようになります。

 やっかいなことに、付着したシリカは年輪状に成長して行くのでパイプ内部はどんどん狭くなり、最後にはパイプを詰まらせてしまうこともあります。こうなるとパイプを交換するしかありません。スケール付着を防ぐ技術はいくつか試みられていますが、現在のところ決め手がありません。早急に解決が望まれている技術です。

 展示しているものは、熱水輸送管(下図の矢印の部分)の内部に付着したシリカスケールです。コレステロールがたまって動脈硬化をおこした血管のようにも見えます。


パネル作成者:藤光康宏、西島 潤、江原幸雄(工学研究院地球資源システム工学部門)

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