■北方モンゴロイドの拡散■

 シベリアの寒冷気候に適応して、目が細く皮下脂肪の厚い扁平な顔立ち、手足の短いずんぐりした体型へと変化した北方モンゴロイドは、やがて徐々に分布域を南方にも広げ始め、その一部は縄文時代末期から弥生時代頃にかけて日本列島にも流入したと考えられている。


 バイカル湖の西、アフォントヴァ山遺跡から出土した2万年余り前の化石には既にこの北方モンゴロイド的な特徴が見られるというが、いつごろこうした新しいタイプが出現したのか、その正確な時期はまだよくわかっていない。また、彼らの南方への拡散開始期についても、約5000年前の気候温暖期とする説が出されているが、その具体的な検証は今後に残された課題である。

(馬場.1993)


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